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「おはようございます、コタロー先輩。」
月曜日。
今日も今日とて、柚木が俺を出迎える。
こんな事が何日も続けば、周りにいる生徒達は、さすがに何か異変を感じ始めていた。
『あれ、一年の柚木君でしょ?相手、誰?』
『知らない。最近、毎朝いるよね柚木君。』
『何か揉め事でも、起きてるのかな…。』
噂好きの女子が、必要以上にゆっくりと、俺達の横を通り過ぎて行く。
変な噂なんて立てられたら、たまったもんじゃない。
「柚木。お前もう、ここで待つな。本気で迷惑だ。」
眉間にシワを寄せながら、思いっ切り柚木を睨み付けてやる。
と。
「………分かりました。明日からここで待つのは、やめます。」
………………。
素直になられると、一気に調子が狂ってしまう。
この押しては引く感じで、きっと俺の調子が崩されているんだ。
押され過ぎるのも大概だが、一気に引かれるとそれはそれで困る。
「………マジで、やめろよ。約束だぞ?」
「はい。」
微笑む顔は、いつもの笑顔。
何を考えているのかと、勘ぐってしまうけれど。
とりあえずは、これでよし、だ。
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