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「今日もいたのか?柚木武留。」
教室に着いた俺に、松嶋が楽しそうな顔で声をかけて来る。
「いたよ。でも明日からは、もうやめるって。」
「へぇ。また殴りでもしたのか?」
人を何だと思ってるんだ、松嶋。
というか。
殴った所で、あいつは諦めないぞ。
「やめろって言ったら、やめるって。すんなり承諾したよ。」
「ふーん、意外だな。」
俺もその言葉に賛成だ。
今までの柚木からしてみたら、異常なほどあっさりしている。
まさか。
キスしたから、なんか勘違いしちゃったんだろうか?
あながちないとは言い切れないこの考えに、背筋がブルっと震えた。
とにかく、接触する時間を少しでも減らそう。
会えば会うほど、何故か毎回振り回されている気がする。
おかしいな。
こんなの、俺じゃない。
気持ちを、強く。
拒むなら、本気で。
よし、大丈夫。
小さく息を吐いた直後、
朝のホームルームの始まりを告げるチャイムが、教室に鳴り響いた。
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