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とにかく、皆が見ているし、照れもするだろう。晴明はそう思った。
由香ははっきり言って、十人並みの顔だった。小さい目に、やけに大きい鼻。
「だよね? 村瀬さん」
晴明には、それが真由が強引に引っ張ってきたように思えた。なにより真由が由香の手を強く握っていたのだ。捕まえて離すまい、そんな感じだった。
仕方なさそうに(観念したようにも見える)、由香は言った。
「はあ……、そんな感じです」
「本当にいいの?」
省吾先輩が聞いた。現文化委員長の夕日先輩も、期待に顔を赤くしている。
「は……はい」
「やったね」
「よくぞやった、桜井」
そこにいた先輩達や仲間たちが喜ぶ。
「もうやばかったけね。委員長決まらないと。生徒総会も近かったし」
「でも、本当にいいの?」
省吾先輩がもう一度念を推す。
「はい」
どうにもなげやりな返事だった。
「先輩達もみんなも、いい人たちだから。絶対楽しいよ。やれるって」
真由が励ます。
「どこでゲットしてきたの?」
夕日先輩が聞く。
「十組でです」
真由は二年八組だ。
「友達が十組にいて、文化委員長になれそうな人を捜してるって言ったら、中学校のときに生徒会長をしてた人がいるって聞いて。誰って訊いたら、この村瀬さんって言うの。『お願いしてもいい?』って言ったら、委員長になってもいいって言うから、連れてきちゃった」
「そう。やったね」
それから由香が生徒会室の真ん中にある椅子に座らせられる。
「で、さっそくだけど、文化委員ってね、どんな仕事かというとね、」
「まだ早いだろう」
さっそく文化委員の仕事を話し始めようとする夕日先輩に、省吾先輩がつっこみを入れる。
「何が得意なの?」
「え? 特に……あ、殺人とか好きです」
「殺人?」
「ええ、ギロチンとか……」
「はぁ?」
皆いっせいにわけのわからない顔をする。
どうやらそうとうな変人のようだ。
「ギロチンというのはですね、一七三八年から一八一四年の提唱によると……」
「いや、そういう話をしているんじゃなくて……」
省吾先輩がつっこむ。
「中国では……」
「いやだから、そんな話じゃなくて……はぁ。好きなの?」
「はい。好きですがそれが何か」
「こんな人ってわかってて連れてきたの?」
夕日先輩がため息をついて真由を見る。
「いえ、ただ中学校の時に生徒会長をしてるってきいたもんですから、さぞ優秀なんだろうと思いまして……」
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