第1章

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「まあそれがわかるのはこれからだね」  それでその日は終わった。  次の日晴明が生徒会室に来ると、真由と由香はもう来ていた。 「あ、土御門くん」 「ちは」 「こんにちは」  真由はいつもにこにこしている。地が可愛いものだから、余計に可愛い。  由香は普通の顔だ。 「いまから専門委員会あるんだって?」 「うん。行って来る」  真由が答えた。  今日配る一年生の企画書にはこう書いてある。 『一、 ステージを使用したパフォーマンスならジャンルは問わない。  例 演劇、人形劇、合唱、ダンス、ミュージカル、古典物(能、歌舞伎)、パントマイムなど  二、文化祭テーマ「絆」に沿ったものにすること。  三、場所・時間・公演回数は自由とする。    場所の例としては主に多目的ホール、他には中庭、駐車場、体育館(他の企画との調整でしよう可能性あり)など。  四、一位から三位を表彰する。    パンフレットに投票用紙をはさみ、全校生徒及び来校者による投票を行う。  五、殺人、流血、過激なラブシーン・衣装などは控えること。  六、脚本。楽譜などは担任を経て生徒指導部の許可を得ること。  七、衣装で校内を不必要に歩き回らないこと。  八、人権面に配慮すること。    差別用語の使用などがないように十分留意すること。  九、安全に留意すること』 「うん、これでいいだろう」 「私にも見せて」  現文化副委員長の桐生先輩がプリントを受け取る。 「私にも見せてください」  由香が受け取る。 「じゃこれ、十部印刷しといて」  夕日が言う。 「はい、わかりました」  専門委員会は緊張する。放課後は部活動がある人たちのため、通常昼休みに行われる。  教室の前に立たなくてはいけないからだ。  文化委員会はいつも職員室棟の三階社会科教室で行われる。 「いまから文化委員会を始めます」  夕日先輩がしきる。  黒板に文字を書いているのは桐生先輩だ。  黒板には、一、はじめのあいさつ、二、議題、三、終わりのあいさつ、とある。  まずは文化委員会委員名簿が配られる。  それに委員の名前を書くのだ。  もちろんそれも書き終わったら回収。  それから、企画書を配る。 「企画書は、二、三年生は四月二十三日、一年生は四月三十日です」  一年生は四月の二十四日から二十六日まで体験学習で山へ行くのだ。 「それでは文化委員会を終わります」
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