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「あ、そろそろ部活行かなきゃ」
真由が言う。
「あ、私も」
由香も言う。
「あれ? 村瀬さん何部?」
「硬式テニス部」
「あれ、私と一緒じゃん」
「そうなの? 全然気づかなかった」
「だねぇ。じゃ、一緒に行こう」
真由達は、執行部にも所属しているため多少の遅刻は許されていたのだった。
テニス場につくと、もうアップは終わっていた。
皆、コートに入って打ち始めている。
「よう、奈緒ちゃん」
増田奈緒は二年三組だ。めがねをとれば可愛いのだが。
「よう、遅かったね」
奈緒も同じ執行部だが、今は用事がないのでいない。
もっとも古株の真由と違って、先輩達ともそう親しくはないのだった。
「うん、今終わったとこ」
「あれ、由香も一緒?」
「うん、この間から生徒会役員になったから」
「そうなの? 知らなかった」
「あれ? 村瀬さんとも友達?」
「うん」
「知らなかった」
そう言って二人で笑う。
真由はムードメーカーで、いつも誰かを笑わせていた。だから、誰にでも好かれるタイプだった。
「それじゃ、練習始めようかな」
そう言って、真由はコートがあいていないので隅っこで素振りを始めた。
「自分面白いね」
そう言って真由を褒めてくれたのは、省吾先輩だった。
由香もいる。
最初の専門委員会から八日がたっていた。
その間に、一年図書館教育・応援練習、定期健康診断、月末大掃除があった。
四季高校には月末の大掃除で、大掃除コンテストというものが存在する。いかにどのクラスが綺麗に掃除したかを競うコンテストである。
四季高校は進学校なのに、こんなコンテストなるものが存在するのが凄い。
話は戻って、今日は企画書の締切日だ。
生徒会室で、文化委員が届けに来るのを待っているのだ。
「そうだよね。桜井って面白い」
桐生先輩が言った。
「あ、ありがとうございます」
照れくさそうに真由が言う。そんなところがまた可愛い。
「それにしても遅いよね」
まだ二クラスしか提出に来ていない。
「たいてい締め切り破るもんね。こっちは急いでるっていうのに」
桐生先輩が言う。
「しかし今年はまた提出率低いなー」
夕日先輩が言う。
「大丈夫ですって。ちゃんと来ますって」
「村瀬さんは慣れた?」
省吾先輩が由香に話題を振る。
「え、あ、はい、大分……」
少し顔が赤い。
「大丈夫? 自分、顔が赤いけど……」
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