プロローグ

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* 「ふゆちゃん、おおきくなったら、けっこんしようね」 幼少期にありがちな、異性の幼なじみとの結婚の約束。 私の答えは、最初から決まっていた。 「だめだよ。みずきくんとは、つながってないんだもん」 バッサリと斬られたときの、“彼”の顔は、今でも覚えている。 ――私は小さな頃から、他の人には見えていないらしいものが見えている。 霊感なんてものじゃない。 見えるのは、糸。 右手の小指に結ばれた、赤い糸。 繋がれた同士の人が近くにいれば、その人達の間には、運命のなんとかっていうやつで繋がっているのが、見えてしまう。 幼なじみの瑞貴(みずき)と、私の小指の間には、それがなかった。
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