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「五十嵐さん、今日はいつにも増して綺麗だね? 何か良いことでも?」
女ナポレオンと恐れられたのはもう遠い過去の話で、今では機会か切っ掛けがあれば男女問わず話し掛けてくる。
「ありがとう。良いことはまだだけどね」
褒められて悪い気はしないが基本の本音、でも今は自ら主張しなくても周りが一層綺麗なった事を代弁してくれる奏は、一番気になるアイツ、ナオを誰にも気付かれないようさりげなくチラ見する。
「話は変わるんだけど、五十嵐さんは昨日、冤罪と大書した紙を持って廊下を歩いていたと聞いたのですが……」
男子生徒の質問に耳が聡く反応し、蒔いた噂の種が発芽したと確信して喜色満面になり奏は心の奥底で“キター”と叫び自らの待望したスキャンダルが発症したと歓ぶ。
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