乾杯

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 「ナオ~、学校に行くから早くはやく!」  奏の呼び掛けに、ナオは直ぐに応じた。  「おう、待たせたなって……どうした?」  「どうしたって何よ」  「イヤ…………何でもない」  「そう、変なの」  本日昼頃に予定している謀略の総仕上げの為に、髪の先から爪先まで、一分の隙もないように磨きあげて来た奏は、いつも以上に眩しく、しかも百万ボルト美夢(ビ~ム)を放っていた。  だから、ゾウにでも踏まれなきゃ気付かない鈍感界の王様ナオも、今日の奏を直視出来ない。  そこで、いつにも増して、可憐なお嬢様となった奏が校門をくぐれば、辺りにいる男子生徒はつい、奏に目を向けてしまい。  教室に着くや、多数の男子に囲まれてしまう始末。
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