5.報告から始まるケジメ

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「あらっ、託実おはよう」 「おはよう。母さん」 「親父、今日は悪いな。  仕事休んでもらって」 「良く知ってるご家族だけど、  なんか緊張するな……。  昔、父さんたちが結婚の報告に行ったときみたいに  緊張してるよ」 「おいおいっ。  親父らが俺より緊張してどうすんだよ」 そう言いながら三人で準備を終えると、 「お車の支度が整いました」 っと俺たちの方に近づいて運転手が静かにお辞儀した。 準備された車に乗り込んで、喜多川家の門を潜る。 指定された場所に車を止めると、 百花の祖父、満永の御両親が揃って俺たちを出迎えた。 「さぁ、どうぞ。  お待ちしておりました」 促されるままに通された部屋。 順番に着席すると、暫くして百花のお母さんが お茶を運んで来て、テーブルへと置くとゆっくりと腰をおろした。 正座をして背筋を伸ばし、俺は喜多川会長と、満永夫妻と対峙する。 「本日は貴重な時間を私の為に作ってくださいまして先にお礼申し上げます。  先日、喜多川会長並びに満永夫妻のご息女であられる百花さんに、  正式にプロポーズをさせて頂きました、亀城託実です。  百花さんの御承諾を頂けましたごご報告と共に、百花さんのご家族であられる  皆様方にも正式にお許し頂ければと想いお邪魔させて頂きました。  喜多川会長はご存知ですが、百花さんと私が出逢ったのは昨年の梅雨の頃。  親友、隆雪のお見舞いの品にと喜多川会長の画廊にお邪魔させて頂いた時が最初のきっかけでした。  その時は、百花さんが理佳さんの妹だとは知らないまま、今日まで時間を歩んでまいりました。  理佳さんに似ているから、惹かれたのかと思ったときもありましたが、  百花さんだからこそ、彼女に惹かれたのだと思い知らされました。  まだまだ至らぬとは思いますが、精一杯守っていきたいと思います。  どうぞ、百花さんとの結婚をお許し頂けませんでしょうか?」 最後の声と共に、深々とお辞儀をする。 俺の隣、親父やおふくろもお辞儀をしている気配を感じる。
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