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「託実さん亀城ご夫妻も、どうぞ頭をあげてください」
静かに喜多川会長が声をかける。
促されるままに、ゆっくりと頭をあげると
喜多川会長は、満永夫妻の方へと視線を向けた。
「ご丁寧に有難うございます。
託実さんには、理佳だけでなく百花までお世話になることになりましたね。
百花はあの通り、優しい子ですが小さい時から理佳の手前、
我慢ばかりさせてしまいました。
あの子が託実さんを選んだのであれば、私も妻も何も言うことはありません。
祖父も、百花と託実さんのことをずっと一番近くで見守っていたのだと思います。
どうぞ、あの子を幸せにしてやってください」
百花の父親の言葉で、正式に結婚の承諾が得られ
俺は緊張のあまりゆっくりと呼吸を吐き出す。
「あらあらっ、託実。
しっかりしなさい。
本当に昔からうちの息子は、プレッシャーに弱くて。
理佳ちゃんとの一件以来、
必死に頑張ってる託実の姿を見守ってはきましたけど、
何処か危なっかしくて、ハラハラしておりました。
だけどAnsyalのバンドがメジャーデビューしてから、
少し息子の顔が楽しそうに感じられるようになりましたの」
母さんは俺をフォローしようと
俺の話題を話しているのかもしれないけど、
ネタにされてる俺自身はたまったもんじゃない。
勝手に俺の昔話始めるんじゃねぇって。
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