5.報告から始まるケジメ

6/7
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ
「百花もじゃよ。  理佳が亡くなった後も、百花は喜多川の姓のまま儂の子供として  この場に留まりつづけた。  満永の家に戻ることなくな。  祖父としてな、孫が不憫で仕方なかった。  気休めになればと教えた絵に、百花ははまって  百花自身の心を守るように、絵に没頭し始めた。  そんな百花が大学に入った頃じゃったかな。  凄く明るく笑うようになった。  その時、笑顔を見せてくれた存在を知りたくて  孫の部屋に勝手に入ったんじゃ。  そこには、託実くん。  お前さんの大きなポスターが飾ってあったよ」 そう言って、喜多川会長が俺に笑いかけた。 「託実、今後の話し合いをさせて頂いたらどうだ?」 親父に促されて、俺は鞄の中からファイルに挟んだ書類を取り出して、 百花の家族に見えるようにテーブルへと広げた。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!