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「百花もじゃよ。
理佳が亡くなった後も、百花は喜多川の姓のまま儂の子供として
この場に留まりつづけた。
満永の家に戻ることなくな。
祖父としてな、孫が不憫で仕方なかった。
気休めになればと教えた絵に、百花ははまって
百花自身の心を守るように、絵に没頭し始めた。
そんな百花が大学に入った頃じゃったかな。
凄く明るく笑うようになった。
その時、笑顔を見せてくれた存在を知りたくて
孫の部屋に勝手に入ったんじゃ。
そこには、託実くん。
お前さんの大きなポスターが飾ってあったよ」
そう言って、喜多川会長が俺に笑いかけた。
「託実、今後の話し合いをさせて頂いたらどうだ?」
親父に促されて、俺は鞄の中からファイルに挟んだ書類を取り出して、
百花の家族に見えるようにテーブルへと広げた。
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