6.新生活

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託実の親族が並ぶ前には、 何やら沢山の贈り物らしき存在が並んでいる。 対面する向かい側に、お祖父ちゃんたちは着席し 私もゆっくりと腰をおろした。 「この度は百花さまと息子、託実とのご縁談をご了承くださいまして有難うございます。  本日はお日柄もよく、婚約の印として結納の数々をご持参いたしました。  幾久しくお納めください」 厳かな雰囲気で向上が述べられて、 宗成先生の声が室内に響く。 同時に差し出された目録をお祖父ちゃんが確認していく。 「結構な結納の品々を有難うございます。幾久しくお受けいたします」 お祖父ちゃんのお辞儀を挨拶に、私たちも一斉にお辞儀を返す。 「結納の受書でございます。どうぞお改めください」 今度はお祖父ちゃんが何かを渡す。 何もわからないまま、 結納と呼ばれる儀式が順調に済んでいるのだけは理解できた。 「本日はどうも有難うございました。おかげさまで無事に結納をお納めすることが出来ました。  今後とも幾久しく宜しくお願いします」 託実側のお父さんの向上に、お祖父ちゃんが最後に言葉を告げるとお互いの一族が一斉にお辞儀をして 緊張の中の儀式は終わった。 その後は、ホテルのスタッフによって食事と座布団が運び込まれる。 一気に和やかな雰囲気になり、そのまま二時間ほどの会食の後 私たちはホテルを離れた。
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