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「そっか。元気なのは良いけど、あんまり無理しちゃ駄目だよ。海斗くん、小学校でも先生の言う事を聞かずに走り回ってんじゃないの~。ちゃんとお利口さんにしてるか確かめに、御姉様が授業参観に行ってあげようか?」
私は生意気少年のおでこをツンツンし、わざとからかって見せる。
「何だよおまえっ、ペチャパイのくせに俺を子ども扱いすんな!」
海斗くんは顔を赤らめ、慌てて私の手をパシッと叩き落とした。
なっ…何だぁ?子供扱いすんなって…立派な子供じゃんか。
払われた自分の手を見つめ、きょとんとする私。
…って、それはさて置きーっ!
「ペチャパイって何だよっ。そこでペチャパイ関係ないでしょーが!」
「関係あるだろ。色気ない奴は俺に説教する資格ナシ」
「ぬおっ!?」
色気ない色気ないって、どいつもこいつもっ!
「ところで、さっきからおばちゃん見てるぞ」
大人気なく憤慨する私にそう言って、海斗くんが目で私の視線を誘導する。
「へっ?」
間抜けな声を漏らし、顔を上げてテレビの音がする正面を見る。
上げた視線の先には、私と海斗くんを眺めながら半笑いをしている女性の姿が。
し、しまった!そうだ、一人居たんだった…おばちゃんが。
…ペチャパイって…連呼してしまったではないか…
慌てて椅子から立ち上がり、羞恥で真っ赤にした顔を隠すように深く会釈をした。
女性は「気にしないで」と言うように手を横に振り、笑顔で会釈を返してくれた。
「恥ずかしいヤツ」
海斗くんは椅子にもたれ掛ったまま、私を見上げてブッと吹き出した。
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