シャッター街にお客が帰って来る日・・

１．憧れのデパート

中学生の頃だろうか・・

市の中心を流れる川の向こう岸に、大きな建物がポツンと建ち始めた。

都心で有名なスーパーマーケットの建物だ。

川の向こう側なんて、誰が行くのだろうか・・・

釣りをやりに行った事がある。

街の中心から大分外れているし、葦が茂る寂しい草原で、誰も行こうとは思わない所・・

でも、

そのスーパーが出来てから、その周りに道路が切り開かれ、あれよあれよと思って見ているうちに、高速道路へのバイパスやテナントビルが建ち始める。

バスが往来し、日曜日になると、スーパーの周りが渋滞となる。

そのうちに、駅前に地下駐車場を作ると市長が言いだし、その工事中は街中にお客が入れない状態・・

営業妨害も良い所だ・・

ますます郊外のスーパーにお客が取られ、長期化した工事が終わる頃には中心市街地はシャッター街となってしまっていた・・

学習塾が林立し、ローン会社の看板が立ち並び、中心街で店を構えていた店主の二世達は、スーパーの建っている新たな商業地へと店を移した。