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♪
ビルの屋上ぉで~~~
絵一が絵を描けば~~
やれ描けぇ!
それ描けぇ!
♪
正直ぃ真弓さん売りさばきぃ~~
♪
万札ぅが~~がぁっぽ がぁっぽ がっぽがっぽぉ~~~
真弓は気づいたようにして頭上を仰いだ。
「あらら、通り過ぎたがね」
と言い、踵を反して下がった。
下がる先には、
K出版社の看板が見えてきて、真弓はそのビルを見上げた。
「えへへ……やっと着きましたがねぇ。
では、絵をば捌(さば)くと致しますかぁ」
そんなことを言いながら、
真弓が階段を上がって行くと、
「こら~~っ!
画一待ちなさ~~~い!」
と、階上から甲高い声が、狭い階段を響き渡った。
すると、七、八歳くらいの男の子が、
階段を駆け降りて来た。
「ぅわっ! 絵が危ないーーーっ!」
踊り場で真弓は、
その子にぶつかりそうになって、壁にへばりついた。
その後に、母親と思われる人が、
これまた激しい勢いで、その子を迫って来たのだった。
「はぁ…はぁ…
すみません、大丈夫ですか?」
その母親は、
真弓の前で脚を止めると、そう気づかった。
「ぁあ、あたしと絵なら平気じゃょ。心配せんでも」
「はぁ……はぁ…
あぁ良かった。では失礼致します」
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