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「四純、そんなに自分を責めないで、別れ辛くなるわ」
四純は、ハッとして顔を挙げると優しく頷いた。
「そうだね裕神……。
いつも僕がそうやって……君の重みになっていたんだね……。
僕はそれに気付かなくて自分のことばかりで……。
済まなかったね……裕神」
「もぅいいのょ、四純」
四純の気持ちは分かるものの、
裕神はいつものように少しづつ苛立を覚えはじめてきた。
実は裕神は、この後に彼氏に逢う約束をしているのだった。
「ねぇ四純、いつまでもこうしていても。
ねぇ私たち、
もぅすぐ他人になるんだから、ここ出ようょ、ねっ」
「あぁ……また気がつかなくて……。
裕神、最後に僕たち、……乾杯でもして別れないかぃ……。
僕は……それにふさわしいお店を知っているんだ」
(四純、乾杯なんてどうだっていいよ。
もぉう四純、
あなたは、なぜ私が別れようとしているのかさえも、
まだ分かってないんでしょう。
四純、私たちはね、
今、たいした理由もなく別れようとしてるのょ。
私はねぇ四純、
あなたといると、何故だかとても苛々して来るのよ。
それが別れる、私のたった一つの最大の理由なのよ!
ぁあ、浩{ひろし=元カレ→今カレ}が待ってるのよね)
「ねぇ四純、
私これから、どうしても行かなければならない用事があるの。
だから、ねぇ分かって」
「裕神……
悪いけど……実はもぅ昨日から予約してあるんだ。
たぶん……こんなことだろうと思って……。
ほら向かいの……あのお店なんだ……。
一時間くらいだったら……構わないよね、裕神……。
僕たちはもぅ逢えないのだから……」
「…………」
(四純、私はいつも思ってたんだけど、
あんたって人は、
ほんとうに気が利いてて間が抜けてる典型人、その人なんだよね)
「そうだね四純、
私たちはもぅ最後なんだし、一時間くらいだったら」
(ぁあ、またうまく乗せられてしまったわ)
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