第1章

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「ゲームの種目は自由。大抵はお互いが候補を出して、その中からくじ引きやルーレット、コイントスなんかで決めるわ。陸上競技のこともあったし、タイピング勝負や囲碁、将棋の時もあった」 「俺らが一年の時なんかエア卓球勝負とかあったよな」 「あったねー。卓球台もラケットも、全部あるつもりでやってたけど、すぐ入った入ってないで喧嘩になって。確か、勝負がつかなくて後日別の勝負したんだっけ?」 「はっ……?」  思わず慧の口から間抜けな、気の抜けたような声が出た。  ――どうやったらエア卓球で勝負をつけることができるの?  咲希も開いた口が塞がらない。 「まあどんな種目でもいいということよ」  一気に緊張感が抜けた空気の中、園香が無理矢理締めくくった。 「ジュエルゲームについてはわかったわね?」  姫の問いかけに慧は頷いた。だが咲希にはもう一つ、わからないことがある。 「康介はどうしてひた隠しにしようとしたの?」  別に、あんなにも必死に隠す必要があるとは思えない。そう思って聞くと、隣から小さな答えが返ってきた。
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