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連れられたバルコニーは、いつもとは少し様子が違っていた。コの字型に並べられたソファーが囲むのは、どこから持ってきたのかもわからない大きな机。その机の上には既にランプや筆記用具が用意されていて、すぐにでも何か作業ができそうだ。
「ではまず、ジュエルゲームについての説明からするわね」
全員が座ったのを確認し、園香が紙に何かを書き込みだした。
まず書かれたのは、大きな【学園】の文字。そしてその下に少し小さな字で【普通科】【先端技術科】と書いた。
「姫がさっき言った通り、元々ジュエルゲームは寮生を引き抜き合うためのもの。学園側も校則には明記していないけど、届け出を出せば許可しているわ」
紙面の【普通科】から【学園】に矢印が伸び、【届け出・ジュエル】と書き足された。
「まずは欲しい人数分以上のジュエルを学園に渡す。ゲーム後、申請以上の人数を獲得した場合にはジュエルを追加しなくてはいけない。でも、もしゲームで負けて何も獲得できなくても、ジュエルは返ってこない。だから、よっぽどの自信がない限りは、何人欲しくてもジュエルは一つにしておくのが得策ね」
続いて【学園】から【先端技術科】に向けて矢印が伸び、【強制】と書き加えられる。
「ジュエルゲームを申し込まれた側には拒否権はほぼなし。拒否した場合、個人の場合は相手が提出した三倍のジュエル、寮の場合は罰金が課せられるわ。だけどその代わり、申し込まれた側はゲームに勝って何かを獲得したとしても、ジュエルを提出する必要はないの」
紙上の【先端技術科】から【学園】に引かれた矢印の上には、大きな×印。そして【普通科】と【先端技術科】の間には【ジュエルゲーム】の文字が足された。
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