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「で、おまえにとっても凛姉は初恋の相手だと?」
「やめてくれ。もうこれ以上落ち込むともう立ち直れねぇよ……」
おふぅ、これは思ったより重症だな。
まさかこいつがここまで落ち込むとは予想外だった。
「ついに凛さんも人妻か……。あれ? なんか萌える……」
前言撤回。
断言する。こいつは落ち込んでなんかいない。
喜んでやがる。
「なんか元気出てきた。てか、凛さんの結婚相手って誰よ?」
清々しいよお前。
「知らん。俺もまだ会ったことないから。そういえば名前も知らねえな」
「お前もう少し自分の姉貴のことに興味持てよ……」
「いいだろ、別に」
俺も俺で思うところがあるんだよ。
というより実感がないという方がしっくりくるのかもしれないな。
姉の結婚……。
なんだかなぁ、複雑。
「なら、ウスノ凛からなんて姓になるのか分からねえんだな、お前」
「いい加減憶えろ。ウスノじゃねえ、『薄野(すすきの)』凛だ」
「――――!!」
それは突然だった。
そんな今まで何度繰り返したかもわからないようなやり取りをしていた時分。
いきなり俺の後方から誰かが首を絞めてきたのだ。
正確に言えば首を絞められたわけでは無く、後ろから襟を引っ張られ結果的に首が絞まっただけなのだが。
「ぐへぇ」
そんな間抜けな声を上げ堪らず後ろの机に仰向けに倒れこむ。
結構勢いよく引っ張られたせいか頭をしこたま机に打ちつけた。
「あんた今なんて言った?」
痛みに悶絶する俺に謝罪もなくいきなり尋問する俺を引っ張った張本人。
小間井柚葉ここに登場である。
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