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神よお前はどうやら俺のことが嫌いらしいな。
喜べ。俺もお前のこと嫌いだ。
なんて、責任転嫁という現実逃避をしたくなるほどに恥ずかしいセリフを吐いたのも俺自身だ。
神もこんな馬鹿を救ってるほど暇では無い、ということなのだろう。
「何ニヤけてんだ、ウスノ。帰らねぇのか?」
「ほっとけ」
気が付けばとっくにHRは、終わっていたらしく教室は閑散としていた。
どれだけショックだったんだよ、俺。
因みに「ウスノ」とは、俺の正しい名前じゃない。
どちらかと言えばあだ名だ。
まあそんな注釈はどうでもいいとしてだ。
はい、放課後。
どうやら俺には、青春というもには縁がないらしい。
学校に残り女子と面白トークに花を咲かせたり、部活に向かい水も滴るいい男を演じたりすることも無く。
ましてや物語によくある男女間の恋愛なんてものには、どうやら勘当されているらしく、本日のスケジュールは家に帰るのみとなっていた。
いや。いいよ。
俺ももう大人だ。
この世に漫画や小説にあるような刺激的な出来事があるだなんてもう思ってない。
あるのは、毎日のルーチンワークとお弁当の中身に一喜一憂できる子供心くらいのものだろう。
この登下校時にお世話になる坂道だって今では、健康な体作りの良い運動だとすら思っているね。
「待てよウスノ。俺おいて先帰んなよ」
「うるせ。お前自転車なんだからすぐ追いつけるだろうが。待ってる時間が無駄じゃねえか」
時は金なりというありがたーいお言葉知らんのか。
「へっ。小間井に無視されてHR後も呆けてた奴のセリフかよ」
「見てたのか」
「ああ。もうばっちりと。なんだっけ? 『人生は自分で見つける物』だっけ? いやぁ、実にありがたいお言葉頂きました」
「そうかよ」
死ね!! あの時の俺死ね!!
穴があったら入りたい。
まあ、あったとしてもその穴も自分で掘った墓穴っていうオチなんだろうがな。
あれ? 結構うまいこと言った?
「でもまあ、気にするこたねぇよ。小間井は、誰に対してもあんな感じだからな。対人姿勢が基本無視って奴だ。俺が言うんだ間違いない」
「やけに詳しいな」
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