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「おうよ。なんたって同学年の女子の情報は、あらかた網羅してるからな。三年生の情報にも対応できるぜ。新入生は、まだ情報不足で入荷待ちだけどな。気になる奴がいるなら言ってくれよ、優先的に情報集めてやるぜ」
青春してるねぇ。
羨ましいとは、思わんがな。
「っていうか、あの子小間井っていうのか。今初めて知ったんだが」
「おいおいウスノ。クラスメイトの名前くらい覚えようぜ。そんなんじゃ、女子に嫌われるぜ?」
「ならお前は、よほど女子に好かれてるんだろうな」
「えー本名『小間井 柚葉(こまい ゆずは)』血液型……」
無視だよ。
痛いところを突かれたと見える。
まあ、そんな風に値踏みするように情報集めてれば風当たりも悪くもなるだろうさ。
「……一年の当初こそあの小柄なロリ体系と淡白な態度で男子に人気があったが、今は全然らしいな」
「別にそこまで詳しく教えてくれなくてもいいんだが」
「いいから言わせろ。こんな時くらいしか俺の特技披露する機会無いんだよ」
全然役に立ってないじゃないか。
不憫にもほどがあるだろ。
「人気がなくなった理由もまあ当然といえば当然な理由なんだが……聞きたいか?」
「なんだよ理由って。どうせ言いたいんだろ。もったいぶらずにさっさと言えよ」
ここで「えーどうしようかなぁ」などとふざけたことをぬかす様なら、人気低迷した連載漫画のごとくこの話打ち切る所存である。
「それがさあ、小間井って重度の『ブラコン』らしいんだわ」
「ブラコンって、あのブラコンか?」
「ああ、お前が想像しているので間違いない。何でも口を開けば兄貴のことしか喋らないらしい。男子のこともすぐ兄貴を引き合いに出して比べてくるらしいんだとよ。それが露呈したころかな、あいつが基本無視なスタンスになったのわ」
ブラコン。
つまりは、ブラザー・コンプレックスか。
へえ、実際にいるもんだねぇ。
「まあ俺の評価じゃ小間井の攻略難易度は、Aランクだね。並大抵の男じゃまず相手にもされない。ウスノ、小間井を狙うのは、やめておけ」
「別に狙ってねぇよ。あれは、ただ少し魔が差しただけだ」
別に下心とか全然無いし。
あるのは思春期特有の行き過ぎた妄想だけだし。
うん健全、健全。全く問題なし。
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