いや、だから無いって

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「女日照りの続いてるそんなおまえに俺様の秘蔵ノートから難易度低めの女紹介してやるよ。C+かB-位がおまえにゃ丁度いいだろ」 「ええい、出すな出すな。そんな悪趣味なノート」  余計な御世話だそんなもん。  自分のこと面倒見てもらうほど崖っぷちじゃねぇよ。  たぶん。いや絶対。そうに決まってる。 「あ、そうだ蕗辻(ふきつじ)。お前に伝えようと思ってたことがあったのすっかり忘れてた」 「あ? なんだよ、後にしてくれ。今秘蔵ノート探しててそれどころじゃないんだよ。おかしいなぁ、鞄に入ってるはずなんだけど。学校に忘れてきたか?」 「おいおい、そんな危険物忘れるなよ。見つかったら洒落にならんぞ」    主にお前の身が洒落にならないことになることが予想される。  ご愁傷様。骨だけは拾ってやるよ。 「悪い。ちょっと学校まで探しに行ってくるわ。先帰っててくれ」  やっぱり他人に見られたらヤバい内容なのか。 「わかったよ。それじゃあさっきの忘れてたっていう話、あとでメールで送っといてやるよ」  そんな俺の言葉を待たずして蕗辻は、自転車を漕ぎ走り出す。 「あの様子。余程だな」    そんな憐みに似た独り言を呟き俺は、おもむろに携帯を操作しメールを送る。  あて先は当然蕗辻。 「子供のころから蕗辻ともよく遊んでたからな。一応知らせておくべきだろうな」  今度は感慨に耽ったような哀愁漂う独り言をぽつりと呟き本文を確認する。 『俺の姉ちゃん今度結婚する』  
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