甘い吐息

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 チュンチュンという小鳥の鳴き声と、カーテンの隙間から入ってくる太陽の光。 「……さむっ」  朝、目を開けると、床に転がっていた。お腹はパジャマから覗いていて、毛布すら掛けられておらず、すっかり冷えている。  見事な大の字で寝ていたらしい私は、お腹をおさえ、立ち上がった。 「一番王子ー!」  すやすやとキングサイズのベッドのど真ん中で眠る美しい顔を揺する。 「なんで真ん中で寝てるのよっ! しかもきちんと布団かぶって!」  私がお腹壊したらあんたのせいだからっ!  ぐわんぐわん揺すると、イチハの眉間にシワが寄った。起きるか? と思い、すぐに揺する手を止めた。私がイチハに何かできるのは寝ているときだけ。起きているときに何かしたら、三倍返しどころでは済まされない。  しかし、イチハは寝苦しそうに息を吐いただけで、また整った呼吸になる。私は懲りずに、イチハのさらさらの黒髪をぐっちゃぐちゃにした。  いつもピチッと整えているから、起きたらセットに苦労するわね。  よし、日頃の恨みも晴らしたわ! これだけ髪をボサボサにしたのに、幼く見えてかわいいってのはしゃくに障るけどね。  私は思わず緩む表情(かお)をなんとか戻そうと、頬を二回叩いた。  さあ着替えるか、とイチハのそばから離れようとすると。 「きゃっ」
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