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突然伸びてきたしなやかな腕。掴まれる私の頭。
「……お前、」
あきれかえったイチハの声。
「お、起きてたの……」
胸がドクンと飛び跳ねた。私を覆うのは恐怖。イチハの鋭い瞳はとっても冷ややか。あ、ヤバいかも。
「お前は、そんなに僕が憎いか」
口の右端だけがつり上がる。引きつった笑い。メガネをかけていないので目を細めている。それが相成って怖さが増している。
「……仕置きだ」
掴まれた頭から離れた指は、ゆるりと髪にからまる。イチハの方へと顔を向かせられる。私はベッドの横に座らせられるような形になって、横向に寝るイチハと対面するはめになっていた。
「ちょ、薬百個作れとかは勘弁……」
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