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「しーちゃん、ずぶぬれだな」
部屋に入ると、大一は、私にバスタオルを渡した。それから、バスタブにお湯を張り、慣れた手つきでインスタントコーヒーを入れるためにお湯を沸かした。
ここへはよく来ているのだろう。
彼の行動から、そんなことが見て取れる。
「あんなところに立ってるなんて、まさか売春でもするつもりだったわけじゃないよな?」
ぼんやり突っ立ったままでいると、大一はバスタオルで私を隅々まで拭いてくれた。
168センチの私より頭一つ分も背の高い彼は、程よく筋肉がついている。
顎に無精ヒゲをはやし、腕にはエキゾチックな模様のヘナアートが施してあった。
どこかだらしなく、でも優雅な男。
私が唯一甘えられる相手。
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