episode4・②

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姉後肌で、気が強い私は、人に弱みを見せるのが苦手だ。 けれど、彼と一緒にいるときは別だった。 私は彼といるとき、たちまち小さな可愛らしい女の子になってしまう。 「久しぶりだな。しーちゃん」 大一の声は低く、物言いはどこかそっけない。 でも、私をしーちゃんと呼ぶその声だけは、しっとりとした甘やかさを含んでいる。 私にだけ向けられるその甘い囁きは、彼の愛を確認できる唯一の手がかりだった。
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