38人が本棚に入れています
本棚に追加
コンコンッ
ガチャ
「あ?……なんだ、ソラか。こんな早い時間に来るなんて珍しいじねぇか。どうかしたのか?」
ソラがノックした扉から出てきたのは、赤茶色のモジャモジャの髪と髭を蓄え、その間からギラギラとした緑色の瞳を覗かせた、ソラよりは大きいが、人間の十歳前後の子供くらいの身長しかない、がっしりとした男だった。
「おはよう、バトさん。実はお願いがあってきたんだ。」
いつもと違うソラの様子に、首をかしげるバト。
「あぁ?なんだ、改まって。まぁいい、とりあえず上がれ。」
バトに招き入れられた先には、バトと同じような見た目だが、髪と瞳は黒く、目付きが鋭いドワーフの男が座っていた。
「おはよう、ジオさん。」
「あぁ。……それで、頼みってのはなんだ。」
ジオは外見に違わず素っ気ない話し方をする。
「僕に、鍛冶屋の仕事の手伝いをさせて欲しいんだ。」
「……それは、弟子入りしてぇっつう事か?」
訝しげな様子でジオが尋ねる。
「弟子入りは、許してくれても出来ない。僕は魔法学園に行くから。手伝わせて貰えるだけでいいんだ。午前中だけだけど……。」
「魔法学園?なんでまた。そんなら、うちを手伝ったって仕方ないだろ。」
バトが意味がわからないといった様子で尋ね、ジオも眉間に皺を寄せてソラを見ている。
「うーん。説明すると長くなるんだけど……。」
ソラは自分の決意と、家族で話し合った事を話した。
「なるほどな。だから午前中だけうちを手伝いてぇってわけか。わしは別に構わん。掃除してくれるだけでも助かるしな。ジオは?」
「……こき使ってやる。覚悟しろ。」
無表情だがどこか楽しそうなジオ。
「うん!でも、発作が起きたら、急に来られなくなるけど……。」
「あぁ。それはちゃんとわかってる。心配しなくても、来たら楽ができるが、来なくてもいつも通りだ。」
手伝うと言いながら、急に動けなくなる自分の体を思い出して落ち込むソラだが、バトには関係無いらしい。
ジオも同感な様で、無表情が崩れる事はない。
「うん!ありがとう!バトさん、ジオさん。今日からよろしくお願いします!」
最初のコメントを投稿しよう!