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「……父さん、話が、あるんだ。……先生にも、聞いて、欲しいんだけど……。」
ソラは、クラウドとどこか憂いの晴れた表情のシルバを見て言った。
二人は視線で先を促す。
「……僕、病気に負けて、なにも出来ないままなのは、イヤなんだ。……父さんみたいに、強くなりたいんだ。……勉強もして、先生みたいに、病気の人とかを、助けてあげられるようにもなりたい。……それで、僕……魔法学園に、行きたいんだ……。」
ソラは呼吸を乱さないように気をつけて、しかし決意を込めてはっきりと言い切った。
「ソラは魔力もあるし、頭も良いから、努力すれば出来るだろう。でもね、魔法学園に行くには高額な授業料を払わないといけない。応援してやりたいが、今の家にそんな余裕は無い。それは、ソラも知っているだろう?どうして魔法学園なんだい?」
クラウドは複雑な表情で尋ねた。
「・・・・・・この間、商人のルータスさんに、聞いたんだ。・・・・・・国立の魔法学園なら、成績が良い人は、授業料を免除して貰えるって。・・・・・・僕、出来るかわかんないけど、出来るところまで、頑張ってみたいんだ。」
たくさん話したせいで、少し息が上がってきているが、ソラは自分の気持ちをしっかりと伝えた。
「確かに特待生なら、すべての費用を国が負担してくれますね。」
シルバは学生時代、魔法学園に通っていたので、そのような制度があったことを思い出したようだ。
「そんな制度があるんですか。・・・・・・ソラ!?」
ソラに話しかけようとクラウドがソラの方を見ると、苦しげに息を荒げるソラの姿があった。
「ハァハァ・・・・・・ハァ、んっ・・・・・・ハァハァ・・・・・・。」
シルバも気づき、慌てて様子を確認する。
「・・・・・・よかった、発作では無いようです。話し過ぎた為に肺に負担がかかったのでしょう、少し過呼吸気味になっただけです。」
クラウドはシルバの診断を聞いてほっと息を吐いた。
「・・・・・・魔法学園、私は賛成ですよ。発作が起こったときだけ注意すれば、病気に影響は出ないですから。後は、ご家族で話し合ってください。私はこれで失礼します。」
シルバは落ち着いたソラが寝たのを確認すると、クラウドに向けて自らの意見を告げた。
クラウドはそれに深く肯いて、シルバの背中を見送ったのだった。
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