第1章 翼を広げて

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――三日後―― 「じゃあ、いってきます!」 漸くベッドから出られたソラは、決意を新たに、家を出た。 ソラが魔法学園に行くために、やらなければならない事は多い。 特待生になるためには、只でさえ難しい試験の全てにおいて、好成績を出さなければいけない。 魔法学園の試験は大きく分けて四つ、学力・魔法・戦闘・持久力の試験だ。 三つ目まではいいとして、入学試験で持久力の試験がある学園は珍しい。 これは魔法学園の卒業後の進路に、戦闘職が多いからである。 戦闘職に就く者には、戦う為の持久力はもちろんだが、逃げる為の持久力も必要とされる。 もし、イレギュラーなどが起きた場合でも、生きて逃げ帰り、危険を伝え、より強い者を応援に呼ぶ必要があるからだ。 閑話休題 そういうわけでソラは、学力・魔法・戦闘・持久力の四つを鍛えなければならない。 幸いにも、環境は既に整っている。 学力は、村長であるカダールに本を貸して貰えばいい。 カダールは本の収集が趣味であり、彼の家には大量の本がある。 ソラは伏せる事が多いため、暇潰しの為によく彼に本を借りており、本を雑に扱わない事は知られているので、今回も快く貸してくれるだろう。 魔法は、村がある山の奥に住んでいるマリアと言う老婆に教わる予定だ。 彼女はこの辺りでは数少ない、魔法を使える人物で、ソラを気に入っているので、頼めば喜んで教えてくれるだろう。 なんでも、魔力が気持ちいいとかで、希に村にやって来てはソラと共に昼寝をしている。 戦闘は、クラウドの仕事仲間である、ノイスという人物に頼むことになっている。 彼は普段から、この村の子供を集めて稽古をつけており、既に許可も貰っている。 持久力に関しては、マリアの家に通う事で勝手につくはずだ。 彼女の家に行くには、約十キロの険しい山道を通る必要がある。 彼女自身は魔法で移動しているので問題ないが、ソラにとっては良い訓練になるだろう。
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