第五部

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3. 「詐欺で手に入れた金は何処にやった!おまえがいくらか持ってったのはは分かってんだ!正直にとっとと吐け!」 そう大声を出しながらテーブルを叩く刑事を見て、うるさい人だなあと思った。もちろん、刑事なんて仕事は、言い逃れしようとする犯罪者ばかりを相手にするような仕事なのだから、こうやって怒鳴りたくなるようなことが多々あるのかも知れないが、「しゃべる」とも「しゃべらない」とも言わない内に怒鳴られては、言う気も失せるというものだ。言うことを聞かない相手や、ふざけた態度を取る手合いになら怒鳴るという行動は別に間違いではないと思う。が、怒鳴るという「威嚇」のための行動を、元々しゃべる気のある人間や、話を聞く気のある人間に対して行うのは、圧倒的にどうかと思う。そんなものは和解のための手を差し出そうとしている人間の手を無情にもはたきながら「さっさと降伏しろ!」と言っているのと同じようなものだ。話を聞く態勢ってものがなっていない。もっとも、そんなことを言えば絶対に怒られるに決まっているので、「怒鳴るしかコミュニケーションの取り様のない仕事なんだろうな」程度に思って、大人しくしゃべる事にした。 「そう怒鳴らなくてもちゃんと話しますよ。ご飯を食べるのと、服を買うのと、ゲーセンで遊ぶのと、花を買うのと、人殺しのために使いました」 ぼくの言葉に刑事は目を剥き、取り調べ室の隅でなにかを書いていた若い刑事が顔を上げてぼくを見た。服を買うとかゲーセンとか、まるで遊ぶ金欲しさにやったみたいだなと思っていると、ぼくを直接取り調べている刑事が立ち上がってテーブルを叩いた。
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