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――「それで、どうやって聞くのさ?」
今日は試験最終日で学校はご午前中で終わりなので、いそいそと帰る準備をしていると良子が思い出したように言った。
「…え?」
良子の言葉の意味はわかってはいたけど、敢えて疑問形で返した。
「太陽君にどうやって聞くのさ」
そうなんです。
それが問題なのです。
だって、太陽は試験が終わって今日から部活だし、一緒に帰ることも出来ないし。
やっぱりメールかな。
「多分、メール…」
微妙な間合いでそう答えると、
「それしかないか、本当は顔見て直接言うのが望ましいけど、恋のスキルレベルが低い空にはそれが妥当かもね」
と、少し眉を顰めて何度も頷いている。
「うん…」
「とにかく、時間が経つ前に早めに聞きなよ、今夜にでも」
「…わかった」
迷いはあったが、私も早くこのもどかしい気持ちをなんとかしたい。
今夜、メールしてみよう。
私を見つめる凛々しい顔の良子が急き立ててくれたおかげで、私は今夜太陽にメールをすることを決心した。
私の決心を聞いた良子は、胸を撫で下ろし部活に向かった。
良子は、その活発さにピッタリなバスケ部だ。
そして私も帰ろうと席を立った時、ふと窓の外に目をやると、そこには既に部活着に着替えた太陽の姿があった。
あ…太陽。
太陽は昨日の私とのキスなんて、覚えていないかのように無邪気に笑っている。
太陽は昔からサッカーをやっている時が、一番生き生きしている。
ふふ、楽しそうにボール蹴っちゃってさ。
私は無意識に窓際に頬杖をつき、太陽を眺めていた。
汗で少し濡れた栗色の髪の毛が、空からの太陽の光を浴びて、キラキラと輝いている。
その時、太陽が二階の教室にいる私の方を見上げた。
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