4♯

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「たいよ…?」 小さな声で再び呼び掛けると、太陽はパチリと目を開けた。 ――え?た、太陽? 起きてたの? 一度は静まった心臓が、再び加速する。 眉をひそめ、太陽の意図のつかめぬ表情を見つめる。 何も言わずに、私を直視する太陽。 何かを言いたそうな顔だが、太陽の口が開かれることはない。 「ど…したの?太陽?」 沈黙が耐えられない私は、再度太陽に声をかけた。 「空…俺…」 「うん?」 太陽の言葉の続きを早く聞きたい私は、急かすように相槌を打つ。 「俺、お前と…一つになりたい」 「え?」 ひひひひひとつになりたいって…やっぱりあの事だよね? 私の頭の中では今日何度目かわからない、良子の言葉がこだましている。 “高校生が付き合うってことは、いずれはそういう事をするってことだよ?“
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