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数歩先を歩く太陽の背中を見つめる。 何故か、いつも太陽の背中はお日様みたいに暖かいのに、今日はなんだろ、なんだか泣いているように見えたんだ。 その直感が何を意味しているのか、その時の私は考えもしなかったしわからなかった。 そして、結局帰りの電車の中でも一言も話すことなく、家の前までついてしまった。 あ、リストバンドだけでも渡さなくちゃ。 そして、鞄の中に手を入れた時、 「じゃ」 太陽は地面を見下ろしたまま、私に小さく手を上げた。 「あっ」 そう言葉を発した時には、既に太陽の姿は無かった。 鞄の中で握られた、お揃いのリストバンドを握る手の力がスーっと抜けていく。 太陽の誕生日プレゼントのリストバンド、結局渡すことが出来なかった。 ぼんやりと見上げると、黒い闇を覆い尽くす厚い雲が空の光を遮り、一つの星も見えなかった。 徐々に浸食していく分厚い黒い闇が、一点の希望の光さえも隠そうとしていた。 ――太陽が17歳になった日。 私は太陽の手を振り払ってしまった。 必死に伸びるその手を、振り払ってしまったんだ。 久方の天つみ空に照る月の失せなむ日こそ我が恋止まめ…
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