7♯

35/40
前へ
/40ページ
次へ
私は3ヶ月ぶりに自分の家に入って行く太陽の姿を、いつまでも見送って立ちつくしていた。 だって、なんだか今でも信じられなくて。 また、明日になったら居なくなってしまうんじゃないかって、不安で押し潰されそうになる。 私は、冬の冷たい風を頬に感じながら、乾いた空を見上げ目を閉じた。 不意に、太陽の光を浴びた赤黒い瞼の裏に、昨夜の太陽の火照った顔が浮かび上がる。 そうだ。 私は太陽と繋がったんだ。 もう、恐れることはない。 昨日まであんなにも遠くに感じた太陽が、今はこんなにも近くに感じることができる。 大丈夫。 太陽を信じよう。 もう一度、太陽の家を見ると、私も家の中へと入った。 ――その日、夜になっても太陽から電話が掛かってくることはなかった。 不安になり良子に電話したが、話し合いをしているのだから我慢しろと言われた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加