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「空ちゃん、少し二人だけで話しいいかしら?」
二階に上がろうとする私を、おばさんが背後から声を掛けてきた。
「え…?はい」
なんだろう。
太陽のこと…だよね…?
久しぶりの太陽の家のリビングに通され、昔と変わらないダイニングテーブルに腰を下ろした。
「紅茶でいいかしら?」
キッチンから笑顔を向ける。
「はい、ありがとうございます」
緊張からモジモジと足を擦り合わせていると、おばさんは私の前にレモンの浮いた紅茶を置き、目の前に座った。
「空ちゃん、太陽が昨日戻ってきてくれたのよ」
おばさんはカップを口に運びながら話す。
「はい」
「あの子はこの3ヶ月間、何をしていたのか何も言わないの」
え…?そうなんだ…流石にホストをしていたなんて言えないのかな…
「でもね?おばさんはそんなことはどうでもいいのよ。
あの子が戻ってきてくれただけで嬉しいの」
「はい…」
おばさんは、薄ら瞳に涙を溜めているように見える。
「空ちゃんがあの子を見つけてくれたの?」
「えっ?…あ、いや…あの……」
返答に困っていると、
「ふふ、いいのよ、ありがとうね、空ちゃん」
柔らかい物腰で言い、クシャと目尻を下げた。
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