episode5・①

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着飾って遊んでばかりいると思っていた彼女は、実はなかなか真面目で、成績も俺よりずっと良かった。 なんとなく入部したという放送部では才能を発揮し、二年生になると、大会で入賞するようになって、全校朝礼で表彰される姿もよく見かけた。 一度、なんかのきっかけで、美杉が朗読するのを聞いたことがある。 全校生徒の前だと言うのに、美杉は堂々としていた。背筋をぴんと伸ばし、前を向き、凛々しかった。 美杉の声は高く澄んでいて、透明で、でも、しっとりとした重みもあって、俺の耳に優しく響いた。 そうだ。初めて彼女を綺麗だと思ったのは、あの時だ。
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