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「あの子はね、男の子だから余計なことは私には言わないのよ。
昔は、よく話す子だったんだけどね…」
そう言って、手持無沙汰にスプーンでカップをかき混ぜるおばさん。
「あの子の病気のことは聞いた?」
「はい、以前母から…」
「そう、空ちゃんは太陽のこと好いてくれているのよね?」
おばさんの直球な質問に言葉を失い、赤面しながら俯いていると、
「ふふふ、空ちゃんありがとね、太陽も空ちゃんだけは昔から特別だったからね」
と、微笑んだ。
「でもね、太陽の病気は進行性の難病なの。
今はまだ躓く程度だけど、そう遠くない将来、あの子は寝たきりになってしまうのよ。
空ちゃんは、まだ若いしあの子じゃなくても、他にいい子が見つかるわ」
苦渋の顔でそう言うと、クシャリと前髪を握るおばさん。
な…に、言ってるの…?
太陽の傍にいるなってこと…?
他にいい子が見つかる…?
そんなことあるわけない!
こんなに愛しい人は太陽しかいない!
おばさんの言葉が悲しくて切なくて悔しくて、目頭が熱くなり涙が溜まっていく。
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