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私は、すかさず病院へと走った。
躊躇なんて、これっぽっちもしなかった。
私は…
私は、ただ、あなたに会いたい。
病院はガラス張りの割と新しい病院だったが、建物自体は小さいため、すぐに太陽の病室は見つかるだろう。
はやる気持ちを抑え、一室一室、太陽の病室を探した。
――“笠原 太陽”
はぁ……見つけた…
そこには、紛れもなく太陽の名前が書かれたプレートが貼られていた。
太陽は2度も私の前から消えた。
今度は絶対に怒ってやるんだから。
引っ叩いてやるんだから。
強気な心意気とは逆に、私の足は凍りついたように全く動かない。
まるで、廊下に私の足がくっついているみたいだ。
あの冷たい波に、攫われそうになっても必死に堪えたんだ。
太陽は、絶対にまた、私に眩しい笑顔をくれる。
うん、大丈夫。
大丈夫。
大丈夫。
自分の心に暗示をかけるように繰り返した。
そして、震える息で大きく深呼吸をし、震える手で扉を開けた。
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