11

5/13
前へ
/31ページ
次へ
私の目に飛び込んできたのは、2ヶ月前のあなたとは全く別人のあなただった。 頬はこけ、腕なんて私と変わらないくらい、ううん、私以上に細くなっていた。 私を見つめるその目にも、全く力が入っていない。 「そ…あ…」 私の名前も呼べなくなってしまった太陽。 胸が締め付けられ、喉奥が熱くなり、目頭が痛くなって、今すぐにでも涙が瞼を越えそうになった。 それでも、私は無理矢理笑顔を作った。 「たーいよっ、おばさんの後、尾行してきちゃった」 ハハっと、乾いた笑みを向けたと同時に、私の左の目尻からは一筋の涙が零れていた。 もう、駄目だ… もう、限界だ… 「ふっ…うぅぅ… たいよぉ…どうしてっ…また私のっ…私の前から居なくなったのよおおおおおっ!わああああああああんっ」 一度、零れ落ちてしまった涙は留まる事を知らない。 私は病室の扉の前に蹲り、膝を抱えて声を張り上げて泣いた。 それでも、 太陽が、私の肩を抱いてくれる事はなかった。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加