10

2/13
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
それから2年。 私は大学2年生になっていた。 太陽は介護設備の整った病院に入院していた。 それでも、かろうじて動く手のひらで、今でも一生懸命に勉強をしている。 半年前から呂律も回らなくなり、会話さえ困難になってきていた。 「そ…ら」 「ん~?」 「いっも、あうぃあと…な」 「はい?何言ってんの?今更。 私が太陽に会いたくてここに来てるんだから、そんなこと言わないでよ」 私の母が持たせてくれたメロンを小さく切りながら、笑顔を向けた。 食事も、固形物をあまり食べられなくなった太陽。 太陽の病気の進行は異常に早い。 まれに見ぬ早さだそうだ。 それでも、私は諦めていない。 もしかしたら、治療薬が1ヶ月後に発見されるかもしれない。 ううん、明日にでも発見されるかもしれないじゃない? 太陽は毎日、不安と闘って、それでも必死に生きているんだ。 私が諦めるわけにはいかない。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!