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それから2年。
私は大学2年生になっていた。
太陽は介護設備の整った病院に入院していた。
それでも、かろうじて動く手のひらで、今でも一生懸命に勉強をしている。
半年前から呂律も回らなくなり、会話さえ困難になってきていた。
「そ…ら」
「ん~?」
「いっも、あうぃあと…な」
「はい?何言ってんの?今更。
私が太陽に会いたくてここに来てるんだから、そんなこと言わないでよ」
私の母が持たせてくれたメロンを小さく切りながら、笑顔を向けた。
食事も、固形物をあまり食べられなくなった太陽。
太陽の病気の進行は異常に早い。
まれに見ぬ早さだそうだ。
それでも、私は諦めていない。
もしかしたら、治療薬が1ヶ月後に発見されるかもしれない。
ううん、明日にでも発見されるかもしれないじゃない?
太陽は毎日、不安と闘って、それでも必死に生きているんだ。
私が諦めるわけにはいかない。
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