11

10/13
前へ
/31ページ
次へ
不思議と涙は出なかった。 太陽は、泣き虫な私の涙を天国へと一緒に持っていってくれたのだろうか。 もしも太陽が病気にならなかったら、私達にはどんな未来が待っていたのだろうか? 輝かしい明るい未来が待っていたのだろうか? 私は… 闇の中にいる。 ただひたすら、漆黒の闇の中にいる。 太陽が死んだあの日から、出口の見えない暗い闇の中を一人彷徨っている。 その日から、私は自分の気持ちに、自分の記憶に鍵を掛け、心の奥の奥にしまい込んだ。 もう、何もいらない。 何も欲しくない。 何もしたくない。 何も考えたくない。 大学も行くのを辞め、部屋に閉じこもる日々が続いた。 太陽のところへ行きたくて、死に場所を探して彷徨ったこともあった。 それでも、意気地のない私は未だに息をしている。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加