episode5・②

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「それで、結婚式はどうだった?」 いつの間にか、妻の機嫌が治っていた。話題が、不満から、今日の披露宴の感想へとシフトし、顔に笑みが戻っている。 正直眠たかったけれど、ここで話を切り上げたようものなら、ますます彼女の機嫌が悪くなることは目に見えていた。だから、込み上げるあくびをかみ殺し、相槌を打った。 「まあ、良かったよ」 「どんなところが?」 どんなと言われても…。 こういう時、女ならドレスや着物がどうとか、髪型がどうとか、余興がどうだとか、そういう話題に行き着くのだろうが、生憎、男はそれほど真剣に披露宴に参加しているわけではない。 懐かしい顔ぶれと語り合う事が最大の目的なのだから。 しかも、今日語り合った事といえば、それぞれの妻に対する不満(それも性生活についてだ)なわけで、そんな話は口が裂けても言えなかった。
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