episode5・②

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しかし、それに対して彼女はおめでとうと言った。 心の底からそう言っているはずもないことはわかっていた。 その一言を発するまで、どれだけの勇気がいったことだろう。 彼女に辛い思いをさせることは容易に想像できたくせに、なのに俺は、ありがとうと答えたのだ。 それは、祝福に対するお礼ではない。ここまできても、俺を責めない彼女に対する感謝の言葉だった。
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