episode5・②

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ワイパーが細やかな水滴を豪快に弾き、窓ガラスに半円形の模様を描く。 ラジオから交互に流れるラブソングと失恋ソング。 帰路を急ぐ人の群れ。 俺たちの間に漂うぴりっとした空気。 車に乗ってから一言も発しない美杉を、俺は何度も盗み見た。 助手席で顔をこわばらせる彼女の顔は、青白く、凛としていて、悲壮感が漂い、でも、あまりにも綺麗だった。
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