episode5・②

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スーツを着替えて戻ると、妻がお茶を入れて待っていた。俺と話をしたそうに、うずうずしているのが分かる。 「今日の披露宴はどうだった?」 「まあ、普通だよ」 「普通」 妻が俺の言葉をなぞるように、繰り返す。 その言い方が、なんだかひっかかる。 妻の言葉には、時々、柔らかな棘が生えるのだ。 痛いというほどではないけれど、違和感を覚える程度のむずがゆさ。
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