episode5・②

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「ねぇ?聞いてるの?」 妻の苛立った声に、はっとして画面から視線を外すと、なぜか、彼女は不機嫌そうにしていた。 「ごめん。何だって?」 「もういい」 「そう?」 いいと言うので、再びテレビに見入ると、「あのねぇ」と、妻は再び口を開いた。 「私が何の話をしていたか気にならないわけ?」 「だって、もういいって言うから」 信じられないというように、妻はかぶりを振った。 「普通さ、もういいって言われても、話を聞きだそうとするものじゃない?」 そういうものなのか。 でも、だったら、そんな回りくどい事をしないで、話せばいいのに。
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