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その年の夏も例年通りの猛暑だった。
僕は居間でエアコンの冷風を感じながら
その涼しさに麻痺した身体をだらりと
横たわらせ、テレビドラマの再放送を
見ていた。
すっかり微睡んでってウトウト
し出したその時、携帯の呼び出しにハッ
と飛び起きる。
「ーチッ、誰だよ。」
発信者も確認せずに電話に出ると
何やらただ事ではない雰囲気の親友から
だ。
「優、今暇だろ!ちょっと今からうちの部室に顔出せよ。」
「待て、待て!突然電話してきてそりゃないだろ。
用件はなんだよ、用件は」
気持ち良く微睡んでいたところを
起こされ怒鳴りぎみに問いただした。
「夏休み前に相談してただろ?最近部活のメンバーがやたら体調不良になって練習にならないって。
今さっきまた一人倒れたんだよ!お前、あの部室は嫌な "感じ"がするって言ったじゃないか」
確かにいったな・・・。
軽はずみに言ってしまったことを今更
後悔しても仕方ないが。
「言うのは言ったかもしれないが、
単純にこの暑さにやられての熱中症
なんじゃないの?」
僕は午後の貴重な睡眠時間を確保する
為になんとか誤魔化そうとしてみたが、
「ー今日倒れた後輩は倒れる直前に
窓の外を指差して悲鳴をあげて
倒れたんだぞ!
・・・なぁ頼むよ。他に誰に相談
すればいいんだよ・・・。」
僕は親友の悲痛な叫びに応えるべく
嫌な予感を胸に抱きながら、重い腰を上げた。
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