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「なんだそれ...」 なんだか居心地の悪さを感じてしまう。 そんな中で彼は何度か大和に電話を掛けていたが、出ないらしかった。 「つーか、そのキャラ...不安定過ぎ」 気持ち悪いキャラにツッコミを入れると、当の本人は全く心当たりがないとでも言いた気に首を傾げた。 「なんのこと?僕はずっとこんなんだけど」 「は?......いやいや、だって御前最初はインパクトが強過ぎて色々と強烈だったぞ」 「そ...?まあいいじゃん」 なんだか、知らない人と接してるみたいで不思議な感覚に陥る。 もしかして双子の兄か弟がいる、とかそんなオチか...? うーん、一理あるかもしれない。 本人から弟がいると聞いたことを思い出し、一人で自問自答を繰り返していると突然目の前の彼が立ち上がった。 「そろそろ行こっか。大和も僕達のことを探しているかもしれないよ」 「あ!そうだった!今頃泣いてんじゃねーかな」 「君じゃあるまいし、それはないでしょ」 ん?どゆこと、裕太くん。 空になったカップをダストボックスに入れて、本屋の方面へ向かって歩みを進める。 「そう言えば、姫神教授と仲良かったんだね」 「え?あ...うん。仲良いって言うか佐伯教授の講義を抜けた時に、たまたま会って...寮まで送ってくれたんだ」 「...ふぅん」 不満そうな声を溢す彼を横目で見ると、姫神先生から言われたことを思い出した。 『保身を考えているのなら、峯裕太とは関わらないことだ』 本当にこれは、どういう意味だったのだろう。 考え込む俺に、隣の静かな彼が一言。 「姫神教授に隙を見せ過ぎると、後から痛い目みるかもね...気を付けて」 「えと...それはどういう」 「あっ、大和発見」 大和が見つかったのは良かったけれど、先程の話の続きが気になる。 二人は、お互いの何を知っているんだ...? 「あ...」 「あ...じゃないだろ!探したんだぞ、馬鹿」 何かいつの間にかマフラーしてやがる。
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