1601人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっ...き、キスって!」
うざったい、と言いた気に眉を顰めた彼だったが俺の顔を見て愉快そうに笑った。
「ふっ...冗談だよ、バーカ」
「ムカつくううう」
「あんただって、男となんかしたくないでしょ?」
いや...まぁ、それはそうだけれどもね。
世の中には例外と言うものがあるんだよ。
実際、大和の額位だったらキスしたいし?
ぶっちゃけた話、姫神先生みたいな素敵な殿方とキスするのも案外悪くないのかもしれない。
って、あれ...?
俺ってもしかして、両刀なんじゃねーの。
「...わかんね」
「そこは否定しなよ...」
エスプレッソを飲みながら裕太の顔をガン見する。
「.....何」
「眠いの?昨日も、遅くまでバイトしてただろ」
「ん...。仕方ないよ、夜に常連がいっぱいくるからね」
「部屋からはどうやって脱出してんだよ。寮長ってめちゃくちゃ厳しいだろ...俺も一回門限破ったら入れて貰えなかったぜ?」
眼鏡が印象的で明らかに秀才なオーラを出す寮長は、いつも人を見下す様な癖があった。
自分に厳しい分、他人にも厳しいのだろうが実際は恋人や友達があまりいない為外に出る必要がないのではなかろうか。
少なくとも、周りの人間に嫉妬している部分もあるんだと思う。
そんな堅物眼鏡が夜の外出など許すはずもない。
見つかったら寮を追い出されるまでだが...裕太は一体どうやって?
「僕は佐伯教授に頼んでるから」
「......は!?」
「頭は多少おかしいけど、いい奴だよ」
「えっ、でもなんて」
「バイトしたいので、寮の門限守らなくてもいいですかって聞いた」
絶対コロされるじゃないですか。
バイトは夕方から門限の時間までやれよ、そもそも御前昼頃から暇してんだろ?
つーかそれ以上口を開いてみやがれ、口ん中に手を突っ込んで裏返しにしてやるから。
って、言いそうじゃないですか!
峯裕太......こいつは、姫神先生の言う通り要注意した方がいい人物なのかもしれません。
最初のコメントを投稿しよう!