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そんな平凡な日から何日もの日が経ったわけだが、突然大和の目に光が差し込んだ。
大層嬉しそうな顔をして携帯の液晶を見詰める彼の笑顔は、久し振り過ぎたせいかちょっとだけドキリとした。
話を聞けば、父と兄に会いに行く、とのこと。
今夜は寮に帰らない、とルンルン気分で鞄に道具を詰めあっという間に帰って行った。
「...大和のあんな姿久し振りに見たね」
「うん!すっげー安心した!」
で、そんなこんなで俺は裕太の部屋で映画鑑賞会をすることになりましたよ。
バイトが休みで、たまには遅くまで起きていたい。と前々から喋っていた裕太が所持している映画を片っ端から物色する。
洋画が多く、グロ6割、ホラー3割、アクション1割...。
グロかホラーしかない、みたいなね。
自分では選べなかったので、裕太が面白いと言ったグロいホラー映画をDVDプレーヤーにセットした。
デリバリーで注文したピザとポテトを食べながら、部屋の灯りを消して画面に食い入るように見る。
ソファーに凭れてぼんやりと映像を眺めていると、突然大音量で流れた効果音に身体を反応させた。
「...怖い?」
「べ、つに!ちょっとビビっただけ!!」
......こいつは怖くないのかな。
こんなに多くのホラーやグロを見ていたら耐性もつくのかもしれない。
しかし...一人で見ていたなんて、本当物好きと言うか何というか。
「やべ...ねみぃ」
そう言えば、いつの間にか1時をまわっている。
あんまり話の内容も分んないまま中盤まできてしまった様だ。
殆ど眺めていたから、分かんなくて当然だけれども。
背伸びをした後に缶チューハイを一気に飲み干した裕太が、画面ではなく俺の方をじーっと見詰めてくる。
「えっ...あっ、寝てもいいよ?ちゃんとテレビは消すから!」
「いや...今夜は寝ない」
そう口にした彼に肩をソファーへと強く押さえ付けられ、強引に唇を
塞がれたーーーー。
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